§ 03

褐色細胞腫

Pheochromocytoma  ·  PHEO

副腎髄質クロム親和性細胞由来のカテコラミン産生腫瘍。発作性高血圧と5Hの典型像、術前のα遮断薬優先の原則が国試頻出。見逃すと高血圧クリーゼで致死的となりうる。

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01Overview

総論

褐色細胞腫はクロム親和性細胞(chromaffin cell)から発生するカテコラミン産生腫瘍で、約90%が副腎髄質に発生する。副腎外発生のものはパラガングリオーマ(傍神経節腫)と呼ばれる。カテコラミン(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミン)の過剰分泌が病態の本質。

Key Point
治療可能な二次性高血圧の中でも最も見逃してはならない疾患。術前・周術期のカテコラミンクリーゼで突然死しうるため、診断確定後は速やかに専門施設へ。
02Rule of 10s

10%ルール — 古典的整理法

褐色細胞腫の疫学的特徴は「10%ルール」として古典的に整理されており、国試ではこの語呂で問われることがある。ただし現在の知見では各割合が実態と異なる。特に遺伝性症例の割合は約30〜40%とされており、従来の「10%」を大きく超える。若年発症・両側性・副腎外・再発例では積極的に遺伝学的背景を考慮する。

▼ 以下は古典的な「10%ルール」としての整理。現在の知見(特に遺伝性)とは一致しない項目があるため、語呂として捉える。

特徴古典的な整理現在の理解・備考
両側性約10%MEN2・VHL病では頻度高い
副腎外(傍神経節腫)約10%腹部大動脈周囲、膀胱など
悪性約10%傍神経節腫ではより高率
遺伝性(家族性)約10%現在は約30〜40%とされ、「10%」を大きく超える
小児約10%成人より遺伝性・両側性が多い

古典的整理法。現在は遺伝性症例が約30〜40%とされており、「遺伝性 約10%」の数字のみが独り歩きしないよう注意する。

関連遺伝性疾患
MEN2A/2B(RET)、VHL病(VHL)、神経線維腫症1型(NF1)SDHx変異ファミリー など。 若年発症・両側性・副腎外・再発例・家族歴ありでは遺伝学的背景を積極的に考慮する。
03Clinical — 5H

臨床像 — 5H

カテコラミン過剰分泌の典型症状を5Hで覚える。発作性高血圧が最も特徴的で、頭痛・発汗とともに三主徴をなす。

5H症状機序
Hypertension高血圧(発作性または持続性)α1受容体刺激 → 末梢血管収縮
Headache拍動性頭痛高血圧・血管収縮
Hyperhidrosis発汗過多交感神経亢進
Hyperglycemia高血糖インスリン分泌抑制、糖新生亢進
Hypermetabolism代謝亢進・体重減少・頻脈β受容体刺激 → 心拍数↑、基礎代謝↑

高血圧は発作性(paroxysmal)が典型だが、持続性高血圧のみの例も多い。誘因として、腹部触診・排尿・排便・体位変換などがある(膀胱褐色細胞腫では排尿時発作が特徴的)。

04Diagnosis

診断

i
生化学的診断 — カテコラミン代謝産物測定

現在は血漿または尿中メタネフリン分画(メタネフリン・ノルメタネフリン)が診断の中心で、感度98%以上と最も優れる。 24時間尿中カテコラミン分画(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミン)は補助的に用いる。 バニリルマンデル酸(VMA)は古典的検査で、感度・特異度がメタネフリン分画に劣るため、現在はスクリーニングとしては単独使用されない(既往の国試問題には残ることがある)。

ii
画像診断 — 局在確認

副腎CTが第一選択。腫瘍内出血・壊死によりheterogeneousな造影を呈することが多い。副腎外・転移検索には131I-MIBG(メタヨードベンジルグアニジン)シンチグラフィまたは68Ga-DOTATATE PET。

05Treatment

治療

最重要原則
術前薬物療法は必ずα遮断薬を先に開始し、十分なα遮断が確立されてからβ遮断薬を追加する。β遮断薬を先行するとα受容体のみが残り、末梢血管収縮が増強して高血圧クリーゼを誘発する。
06 Past Questions

過去問

Past Question
Q 1 第116回 医師国家試験 B問題 問46-47(問47)

20 歳の男性。動悸と頭痛を主訴に来院した。17 歳の時から時々動悸と頭痛を自覚していた。本日、知人の引っ越しを手伝うため家具を運ぼうとしたところ、動悸と激しい頭痛が生じ、内科を受診した。大学入学時の健康診断で血圧高値を指摘された。大学生。喫煙歴、飲酒歴はない。父が高血圧症で治療中。意識は清明。身長 172 cm、体重 55 kg。体温 36.3 ℃。脈拍 132/分、整。血圧 192/110 mmHg。呼吸数 24/分。著明な発汗を認める。顔面は紅潮している。四肢に冷感を認める。胸腹部に異常を認めない。尿所見:蛋白(−)、糖(−)。血液所見:赤血球 463 万、Hb 13.2 g/dL、Ht 40 %、白血球 5,800、血小板 22 万。血液生化学所見:総蛋白 8.8 g/dL、AST 24 U/L、ALT 14 U/L、LD 183 U/L(基準 120〜245)、尿素窒素 17 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 7.2 mg/dL、血糖 101 mg/dL、Na 136 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 100 mEq/L。CRP 1.2 mg/dL。

入院後検査所見:TSH 1.76 μU/mL(基準 0.2〜4.0)、FT3 3.6 pg/mL(基準 2.3〜4.3)、FT4 1.4 ng/dL(基準 0.8〜2.2)、アルドステロン 8 ng/dL(基準 4〜10)、血漿レニン活性 2.0 ng/mL/時間(基準 1.2〜2.5)、アドレナリン 120 pg/mL(基準 100 以下)、ノルアドレナリン 1,200 pg/mL(基準 100〜450)。尿中 VMA 18 mg/日(基準 1.3〜5.1)。腹部超音波検査で左側腹部に径 6 cm の腫瘤像を認める。

経静脈的降圧薬で降圧がみられたのち、最初に投与すべき経口降圧薬はどれか。

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正解:a

Q 2 第117回 医師国家試験 F問題 問18

食思不振により体重が減少するのはどれか。2 つ選べ。

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正解:bc

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