§ 02

クッシング症候群

Cushing's Syndrome  ·  CS

内因性コルチゾール過剰による多彩な臨床像が特徴。ACTH依存性と非依存性の鑑別、デキサメサゾン抑制試験の段階的解釈が国試頻出テーマ。外因性(医原性)との区別も必ず押さえたい。

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01Overview

総論

クッシング症候群は、内因性コルチゾールの慢性過剰分泌による疾患群である。最多はACTH産生下垂体腺腫によるクッシング病。医原性(外因性ステロイド)は最もよく見られるが、国試では内因性を問うことがほとんど。

Key Point
コルチゾール過剰の原因をACTH依存性 vs ACTH非依存性で二分する思考が診断の軸。血中ACTH値がその分岐点となる。
02Classification

分類

分類原因ACTH頻度
クッシング病ACTH産生下垂体腺腫〜70%
異所性ACTH産生腫瘍小細胞肺癌・カルチノイドなど↑↑〜15%
副腎腺腫自律性コルチゾール産生↓(抑制)〜10%
副腎癌自律性コルチゾール産生↓(抑制)〜5%
03Clinical features

臨床像

コルチゾール過剰は多彩な代謝異常をもたらす。国試では典型的な身体所見の組み合わせで診断を問う問題が多い。

所見機序
中心性肥満・満月様顔貌(月面様)脂肪再分布
野牛肩(buffalo hump)頸背部への脂肪蓄積
皮膚線条(紫色、幅広い)皮膚萎縮・コラーゲン減少
高血圧・浮腫鉱質コルチコイド様作用
高血糖・糖尿病糖新生亢進・インスリン抵抗性
骨粗鬆症・骨折骨芽細胞抑制・破骨細胞促進
多毛・痤瘡・月経不順副腎アンドロゲン過剰
筋力低下(近位筋優位)タンパク異化亢進
免疫抑制・易感染性T細胞・好中球機能低下
うつ・精神症状海馬MR/GR活性異常
04Diagnosis

診断

3段階で進める。①コルチゾール過剰の証明(スクリーニング)→ ②ACTH依存性 / 非依存性の鑑別(病型鑑別)→ ③クッシング病 / 異所性ACTH産生腫瘍の鑑別(下垂体性 vs 異所性)。 各段階は目的が異なるため、検査の位置づけを混同しないこと。

i
スクリーニング — コルチゾール過剰を証明

コルチゾール過剰の証明には以下を組み合わせて判断する。 ①デキサメサゾン抑制試験、 ②24時間尿中遊離コルチゾール(UFC)、 ③深夜唾液コルチゾール(日内リズム消失の確認)。 単一検査ではなく、複数陽性をもって評価する。

※ デキサメサゾン抑制試験には 1 mg 単回夜間法0.5 mg 法2 mg 法 などがあり、投与量や判定基準(例:翌朝血中コルチゾール > 1.8 μg/dL)は文献により異なる。国試では 1 mg 法が扱われることが多いが、日本の診断の手引きでは 0.5 mg 法の文脈も重要。

ii
ACTH依存性 vs 非依存性の鑑別

血中ACTH測定が鍵。ACTH低値(≤5 pg/mL)なら副腎原性(ACTH非依存性)→ 副腎CT。 ACTH正常〜高値なら下垂体性または異所性(ACTH依存性)→ 次ステップへ。

iii
クッシング病 vs 異所性 — 大量デキサメサゾン抑制試験

デキサメサゾン8 mg投与後、血中コルチゾールが50%以上抑制されればクッシング病を示唆し(下垂体腺腫は高用量でなお抑制される)、抑制されなければ異所性ACTH産生腫瘍を疑う。 ただし本試験単独では確定せず、下垂体MRI、鑑別困難例では両側下錐体静脈サンプリング(IPSS)を併用して確定する。

試験頻出ポイント
国試では低用量 DEX 抑制試験=スクリーニング高用量(8 mg)DEX 抑制試験=クッシング病 vs 異所性の鑑別として整理することが多い。ただし低用量試験の投与量(1 mg / 0.5 mg / 2 mg)や判定基準値は文脈・文献により異なるため、実臨床ではそのまま当てはめず、診断の手引きに沿って判断する。
05Treatment

治療

06 Past Questions

過去問

Past Question
Q 1 第117回 医師国家試験 F問題 問13

副腎腺腫による Cushing 症候群で認めないのはどれか。

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正解:d

Q 2 第117回 医師国家試験 D問題 問57

3 歳の男児。急激な体重増加を主訴に父親に連れられて来院した。身長 98 cm、体重 19 kg。体温 36.5 ℃。脈拍 120/分、整。血圧 136/88 mmHg。呼吸数 28/分。SpO2 100 %(room air)。肥満あり。顔面、頸部、体幹および背部を中心に脂肪の蓄積を認めるが、上下肢は細い。全身の多毛と下腹部の皮膚線条とを認める。血液生化学所見:血糖 122 mg/dL、HbA1c 5.7 %(基準 4.6〜6.2)、総コレステロール 332 mg/dL、トリグリセリド 257 mg/dL、Na 143 mEq/L、K 3.6 mEq/L、Cl 105 mEq/L、Ca 9.4 mg/dL、P 3.7 mg/dL、ACTH <1.5 pg/mL(基準 60 以下)、コルチゾール 26.1 μg/dL(基準 5.2〜12.6)。

この患児の病態を生じる基礎疾患として最も考えられるのはどれか。

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正解:b

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