§ 01

原発性アルドステロン症

Primary Aldosteronism  ·  PA

二次性高血圧の代表疾患。高血圧患者の5〜10%を占め、本態性高血圧より心血管イベントが多い。 ARRによるスクリーニング、負荷試験による確定診断、AVSによる局在診断——この三段階を体系的に理解することが国試対策の要となる。

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01 Overview

総論

原発性アルドステロン症(Primary Aldosteronism, PA)は、副腎皮質球状層からのアルドステロンがレニン-アンジオテンシン系から独立して過剰に分泌される疾患である。病態の本質は低レニン・高アルドステロンであり、臨床的には高血圧低K血症代謝性アルカローシスを特徴とする(1955年 Conn 症候群として報告)。ただし低K血症は必発ではなく、正K血症の症例も多い。

Key Point
高血圧患者のうち PA は 5〜10%。本態性高血圧と比して、同じ血圧でも心血管・脳血管イベント発症率が2〜4倍と報告される。早期診断・治療の意義は大きい。
02 Pathophysiology

病態

副腎皮質球状層でアルドステロン合成酵素(CYP11B2)の自律的活性化が起こる。アルドステロンは遠位尿細管・集合管の鉱質コルチコイド受容体(MR)に作用し、Na再吸収・K排泄・H+排泄を促進する。

03 Clinical features

臨床像

治療抵抗性高血圧や副腎偶発腫瘍の精査中などに発見されることが多い。低K血症は3〜5割程度にしか認めないため、典型症状に頼ると見逃しやすい。

症候機序頻度
高血圧Na貯留・血管平滑筋MR活性ほぼ全例
低K血症遠位尿細管でのK排泄亢進30〜50%
代謝性アルカローシスH+排泄亢進中等度以上
筋力低下・テタニー低K・低Mg少数
多尿・多飲低K性腎性尿崩症少数
PAを疑う高血圧(スクリーニング適応)
以下を伴う高血圧ではPAを積極的に疑い、ARRによるスクリーニングを考慮する。
  • 低K血症を伴う高血圧(自発性・利尿薬誘発性を含む)
  • 治療抵抗性高血圧(3剤併用でもコントロール不良)
  • 若年発症高血圧(40歳未満)
  • 重症高血圧(150/100 mmHg 以上)
  • 副腎偶発腫瘍を合併する高血圧
  • 若年脳卒中の既往
  • 睡眠時無呼吸症候群(OSA)を合併する高血圧
04 Diagnosis

診断

i スクリーニング → ii 機能確認検査 → iii 局在診断の3段階で進める。 スクリーニング陽性のみで確定診断とはならない。原則として機能確認検査を行うが、自発的な低K血症・著明なレニン抑制・PAC 高値を伴う典型例では省略可能な場合がある。 国試では各ステップの目的と閾値を問う設問が頻出する。

i
スクリーニング — ARR

血漿アルドステロン濃度(PAC)/ 血漿レニン活性(PRA) = ARR。 日本内分泌学会 PA 診療ガイドライン 2021(CLEIA法ベース)では ARR ≧ 200 かつ PAC ≧ 60 pg/mL を陽性の目安とする。 ARR 100〜200 は境界域として扱い、臨床所見・繰り返し測定で判断する。 測定法・試薬、採血条件(時間帯・体位)、内服薬の影響で解釈が変わるため、陽性だけで確定診断ではない。

※ 薬剤影響:MR拮抗薬β遮断薬ACE阻害薬/ARB利尿薬はレニン/アルドステロンに影響する。臨床状況に応じて可能な範囲で薬剤を調整し(Ca拮抗薬・α遮断薬など影響の少ない薬剤への変更を含む)、再評価する。

ii
機能確認検査(確定診断)

機能確認検査として、i 生食負荷試験、ii カプトプリル負荷試験、iii フロセミド立位試験、iv 経口食塩負荷試験 のいずれかを施行し、アルドステロン分泌が抑制されないことを確認する。 カットオフ値(例:生食負荷後 PAC > 60 pg/mL)はあくまで目安で、測定法・試薬・施設基準により解釈が異なる。

iii
局在診断(CT / AVS)

副腎 CT で結節を確認したのち、副腎静脈サンプリング(AVS)でコルチゾール補正したアルドステロン比により片側性を判定。 AVSは手術適応決定のゴールドスタンダード。

副腎静脈サンプリング(AVS)透視像:右副腎静脈(左)と左副腎静脈(右)へのカテーテル留置。ピンクの点線円がカテーテル先端位置を示す。
AVS透視像(右副腎静脈・左副腎静脈)。カテーテル先端(点線円)を各副腎静脈に留置し、ACTH投与前後で採血してアルドステロン/コルチゾール比を算出する。
05 Treatment

治療

06 Past Questions

過去問

Past Question
Q 1 第117回 医師国家試験 A問題 問69

63 歳の女性。健診で低カリウム血症を指摘され来院した。40 歳ごろから高血圧でカルシウム拮抗薬を内服している。両親と姉が高血圧症。身長 147 cm、体重 43 kg。脈拍 72/分、整。血圧 152/88 mmHg。胸腹部に異常を認めない。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)。血液所見:Hb 12.9 g/dL、Ht 40 %、白血球 5,400、血小板 22 万。血液生化学所見:アルブミン 4.2 g/dL、AST 21 U/L、ALT 16 U/L、尿素窒素 20 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL、血糖 109 mg/dL、Na 143 mEq/L、K 2.5 mEq/L。スクリーニングとして、午前 10 時ごろの随時採血で、血漿アルドステロン濃度 472 pg/mL(基準 50〜100)、血漿レニン活性 0.1 ng/mL/時間(基準 1.2〜2.5)であった。カプトプリル負荷試験は陽性であった。腹部 MRI で左副腎に径 17 mm の境界明瞭な結節を認め、腺腫が疑われた。

手術療法の適応を判断するために必要な検査はどれか。

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正解:e 副腎静脈血サンプリング

Q 2 第114回 医師国家試験 A問題 問73

41 歳の女性。高血圧、頭痛および脱力を主訴に来院した。6 年前から高血圧症に対してカルシウム拮抗薬を投与されていたが、血圧は 150/80 mmHg 前後の高値が持続していた。4 年前から頭痛と脱力も自覚するようになった。血清カリウム 2.8 mEq/L。安静臥位 30 分後:血漿レニン活性 0.1 ng/mL/時間(基準 1.2〜2.5)、血漿アルドステロン濃度 231 pg/mL(基準 30〜159)。腹部単純 CT では異常所見を認めない。

診断のために行うべき検査はどれか。3 つ選べ。

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正解:a・b・d

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